ダンススポーツに於ける新審判方式導入の方向性について
2007年4月 Rev.1.0
JDSF新審判基準WG
〔1〕背景
ダンススポーツの審判基準客観化の意義について(別紙)に基づき、新審判方式を導入する。
〔2〕基本方針
- 従来の審判方式との連続性
従来の審判方式を肯定しつつ、その上で更に客観的に精度を高めることができる方法として新方式を部分的に導入して行く。(従来方式を今後も継続)
- トップの競技会での実施
特に精度・透明性が重要な日本のトップを決めるような競技会等の決勝にて導入する。
- IDSFとの連携
IDSFにおける検討と歩調を合わせながら実地テストを進め、平成20年後期またはそれ以降の早い段階での本番運用を目指す。
- 段階的実施
現行方式の評価基準をベースとして、徐々に精度を高めるべく評価基準を調整しながら進歩させていく。
〔3〕新審判方式の検討(方向性)
1)一般的な精度向上
- 決勝は6組を前提とし、7組以上の順位法を避けることが望ましい。(審判精度を確保)
- 予選において、一度に多数の選手を選ぶ場合については、削除法(落とす選手にマーク)を認める。
(ただし競技長の責任で欠場チェックを適時に行う)
2)決勝における絶対評価の導入と順位決定
- 種目毎に決勝をソロ競技と全員競技との2つのパートを行う。(5種目全てとは限らない)
- ソロ競技では個別項目毎に詳細な絶対評価を行い、全員競技ではマクロ視点での相対評価を行い、その合計得点で種目順位を決定する。
- 種目順位決定に当たっては、最高点と最低点を削除し平均点で決する。審判員人数を多く確保できる場合は、結果を反映する審判員の無作為抽出を行う(オプション)
3)審判団の構成
- 審判長の他に5人以上の審判員と3人の技術判定員で構成し、技術判定員はソロ競技での規定内容の特定部分の判断を行う。
- 審判長は採点するが、原則としてこの結果は当日の競技成績には反映されず、審判員評価と反省のために利用されることが望ましい。
4)説明責任と審判精度の向上
- ソロ競技は必ずビデオ映像を記録し、必要に応じて結果説明に使用されるものとする。ただし、ミス判定があっても(当日中に故意または集計ミスと判別された場合を除き)発表の順位は変更されず、主として該当審判員と技術判定員の評価に利用されるものとする。
(審判能力向上と中立性確保に寄与)
- 成績の総責任者たる審判長は、競技会終了後に審判会議を開催し、必要に応じて審判員と技術判定員に説明を求め、結果レポートをJDSF内部資料として作成する。
- 審判長は、採点結果についてJDSFからの質問に回答しなければならない。
- JDSFでは審判員および技術判定員を評価する機構を設けるとともに、審判基準の更なる客観化努力を継続的に行う。
〔4〕決勝におけるソロ競技および全員競技の音楽
1)演奏時間
以下を標準とする。(フェードアウト部分を除く)
- ソロ競技の場合: 1分
- ソロ競技の後の全員競技の場合: 1分
- ソロ競技がない種目の全員競技の場合:
- ワルツ、タンゴ、スローフォックストロット、クイックステップ = 1分30秒
- ルンバ、チャチャチャ、サンバ = 1分30秒
- ヴィエニーズワルツ、ジャイブ = 1分15秒
- パソドブレ = 1分20秒 (第2ハイライトがある曲の場合は第2ハイライトまで)
2)演技対象時間
- 演技は曲のスタートからフェードアウトが始まるまでの全ての時間とする。
- 導入準備(踊り始めていない状態)は、前奏を除いて4小節以内(ヴィエニーズワルツは8小節以内)とする。その後、曲が鳴っている間(少なくともフェードアウトが始まるまで)はダンスをやめてはならない。
(お辞儀動作やリズムをとる動作は、導入準備時間内に収めねばならず、出遅れ、中断、早く終わってしまった場合は減点対象とする)
- 将来は選手自らのコリオグラフィに合わせた音楽を自由に持参することも可能とするかどうか検討する。但しその場合でも、特に希望がない場合は、主催者が用意した標準曲を選択使用できるように配慮する。
〔5〕決勝におけるソロ競技について
1)課題フィガー
- 選手は予め示された課題フィガーを含めたコリオグラフィにて演技しなければならない。
課題フィガーは原則として年間を通して共通とするが、導入当初は改善の為に変更する場合がある。
- 選手は予め演技予定フィガーの概略(課題フィガーの演技順番と前後の小節数)を提出しなければならない。
- 当日の演技が(コンディションにより)提出された予定フィガーから変更されることは認められ、減点対象とはならない。
- 課題フィガーに指定された同一フィガーが1回の演技で複数回使われた場合は、提出された演技予定の中で課題として特定された方のフィガーのみを評価する。予定の順で演技されなかった場合は、審判員、技術判定員が個々に結果が悪いと判断した方のフィガーを対象として評価されるものとする。
- 課題フィガー間の繋ぎは自由(ベーシック・フィガーに限らない)とし、効果的なオリジナルのコリオグラフィが望ましいが、予め提示されるサンプルアマルガメーションを利用して演技しても良い。
2)ソロ競技の出場順番
- 種目毎のソロ競技の出場順番は、公平を期すために背番号と無関係に決勝前の抽選によって決める。
3)ソロ競技の評価基準(別途定義)
- ソロ競技部分の評価は、課題フィガーについての特定の技術要素を評価するTechnical Element Scoreと、それ以外の技術および芸術性など全体的な評価を行うProgram Component Scoreとの2つの軸で行う。
- Technical Element Scoreについては、審判員が各課題フィガーについて規定に基づき
−3 〜 +3 の採点を行う。また技術判定員が基準に基づき基礎点(Basic Value)の選択を行う。
- Technical Element Scoreの基礎点は、予め明示された特定の(フットワーク等の)定めについて技術判定員が専門的にチェックし、規定に応じて減点される。ここで、課題フィガーが演技されなかった場合は、基礎点を失うものとする。
- Program Component Scoreについては、審判員がソロ競技全体を通して別途定める6つの評価項目について、基準に基づき採点を行う。
〔6〕決勝における全員競技について
1)全員競技の評価基準(別途定義)
審判員は相対評価により以下の得点を与える。
1位= 10点 +/-0.25、 2位= 9点 +/-0.25、 3位= 8点 +/-0.25
4位= 7点 +/-0.25、 5位= 6点 +/-0.25、 6位= 5点 +/-0.25
他の得点との重み付け関係については別途定義。
〔7〕決勝におけるソロ競技と全員競技の加点・減点項目
1)加点項目(別途定義)
審判員は、挑戦的な高度な演技があった場合にソロ競技と全員競技あわせて1種目1回のみ、加点することができる。
2)減点項目(別途定義)
- 審判員は、ソロ競技においてのみ、転倒、バランス崩壊、躓き、ステップミス(カップル不整合)、中断、出遅れ、早く終了するなどの瑕疵があった場合に、その都度減点基準に基づき減点する。
- 審判員は、全員競技において、LOD違反による他者への妨害、接触による最小限の中断以外の中断、出遅れ、早く終了するなどの瑕疵があった場合に、その都度減点基準に基づき減点する。
これらについては詳細検討中の内容であり、現時点での検討の方向性を示したものです。
以上
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